DIG社会保険労務士法人の社労士ブログ

2026.03.12

健康診断の実施から事後措置までの流れ|労働安全衛生法に基づく実務対応を解説

健康診断の実施から事後措置までの流れ|サムネイル

はじめに

こんにちは!福岡市にありますDIG社会保険労務士法人(旧:社会保険労務士法人アーリークロス)です。
今回は、「健康診断の実施から事後措置までの流れ」について解説いたします。

本記事では、労働安全衛生法に基づく健康診断について、
・実施の目的
・具体的な流れ
・実施後の対応
・実務上の注意点
を整理しています。
「健康診断、毎年なんとなくやっているけど、ここまで対応できているか不安…」
という方にも、全体像の整理としてご活用いただければ幸いです。

健康診断の種類と実施時期

定期健康診断
 常時使用する労働者に対し、1年以内毎に1回実施する

雇入れ時の健康診断
 入社前3か月以内又は入社後3か月以内に受診

このほか、特定業務従事者や海外派遣労働者に対する健康診断も定められています。
この記事では「定期健康診断」に絞って健康診断の注意点をまとめております。

健康診断の実施目的

労働安全衛生法第66条では、
「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。」
と定められています。

健康診断の目的は、単に結果を確認することではなく、労働者の健康状態を把握し、必要に応じて働き方を調整することで、病気の発症や重症化を防ぐことにあります。

そのため、健康診断は「受けさせて終わり」ではなく、結果を踏まえた対応まで含めて事業者の責務である点に注意が必要です。

定期健康診断を実施するときの流れ

①対象者

健康診断の対象となるのは、原則として常時使用する労働者です。
具体的には、
・無期雇用の労働者
・1年以上の有期契約労働者
については、健康診断を受診させる義務があります。

併せて、法的義務はありませんが実施が望ましいとされている方として。
・正社員の週所定労働時間の4分の3未満で働く短時間労働
・役員であっても、工場長や支店長など労働者性が認められる方
が挙げられます。

②健康診断項目

雇入れ時と定期とで検査項目に違いがあるのでご注意ください。

定期健康診断後の事後措置

ここから、定期健康診断に関する事後措置や費用についてご説明します。

①結果の記録・保存
 →健康診断個人票を作成し、原則5年間保管。
②医師等からの意見聴取
 →異常所見がある労働者について、意見を聴取する必要あり。
③就業上の措置
 →労働時間の短縮や作業・配置転換などの措置を検討・実施。
④労働者本人への通知
 →必ず本人へ通知。
⑤労働基準監督署への報告
 →常時50人以上の労働者を使用する事業場では、報告が必須。

健康診断に関する注意点

【費用負担】

法定健康診断の費用は、会社の全額負担が原則です。(目安:1人当たり5,000円~15,000円程度)
・法定外検査
・人間ドック
・再検査

上記については、必ずしも会社負担の義務はありません。
ただし、再検査については、安全配慮義務の観点から慎重な対応が必要です。

安全配慮義務とは

業務における危険及び健康障害を事前に発見し、その防止対策を講じることが使用者の義務として定められています。
その義務を怠っており労働災害が発生してしまうと、損害賠償義務が生じます。

過去事例にて、健康診断の結果再検査となっている従業員をそのまま働かせ、労働災害に発展してしまった事例もあります。
その為、再検査に関しては検査を受けやすい環境づくり等会社側の対応が必要となります。

【再検査になった際の具体的なフロー】

①医師当からの意見聴取
②再検査を従業員に受けさせる
③検査の結果哉医師からの意見をもとに、配置転換など就業上の措置を実施
④再検査の内容についても本人に通知

【受診時間の賃金】

健康診断の受診時間について、法律上、賃金支払いの義務はありません。
ただし、厚生労働省は、
円滑な受診のため、賃金を支払うことが望ましい
としています。
実務上は、就業規則や社内ルールで明確にしておくことが重要です。

【就業規則への賃金】

健康診断については、以下の事項を定めておくと安心です。
・受診時間の取扱い
・費用負担
・受診拒否への対応
・健康情報の管理
・事後措置の対応方法
・再検査の際の対応方法

【健康診断を実施しなかった場合の対応】

健康診断を実施しなかった場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、労基署による是正勧告や、実施状況・記録の確認が行われることもありますので、法令に沿った運用が必要です。

おわりに

健康診断は、実施すること自体が目的ではなく、その結果をどのように活かし、どのように対応するかが重要です。
対象者の判断や事後措置の運用に迷いがある場合は、放置せず整理しておくことが、将来的な実務負担の軽減やリスクの低減にもつながります。
DIG社会保険労務士法人では、実務に即したアドバイスと運用整備の支援を行っております。
ぜひお気軽にご相談ください。

▼お問い合わせはこちら
お問い合わせ | DIG社会保険労務士法人

労務に関すること、
お気軽にご相談ください。
初回相談は無料です。