DIG社会保険労務士法人の社労士ブログ

2026.02.05

年次有給休暇とは?付与要件や注意点をわかりやすく解説

こんにちは。福岡市にありますDIG社会保険労務士法人(旧:社会保険労務士法人アーリークロス)です。
今回は、年次有給休暇について、基本的な付与要件から、パート・アルバイトへの適用、年5日の取得義務、管理簿の作成まで、実務で押さえておきたいポイントを解説します。

年次有給休暇とは

年次有給休暇とは、労働基準法第39条に基づき、一定期間継続して勤務した労働者に与えられる法定の休暇です。
心身の疲労回復や、ゆとりある生活の確保を目的としており、「有給」で休むことができます。

正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態を問わず、法律で定められた要件を満たすすべての労働者に付与されなければなりません。

年次有給休暇が付与される2つの要件

年次有給休暇が付与されるためには、次の2つの要件をいずれも満たす必要があります

  1. 1.雇入れの日から6か月間継続して勤務していること
  2. 2.全労働日の8割以上出勤していること

「継続勤務」とは在籍期間を指し、欠勤や休職があっても、雇用関係が継続していれば要件を満たします。

出勤率の算定における考え方(重要)

出勤率は「出勤日数 ÷ 全労働日数」で計算しますが、何を出勤日数・全労働日数に含めるかが実務上の重要ポイントです。

出勤したものとして扱う日

次の期間・日数は、実際に働いていなくても出勤したものとして扱います

  • ・年次有給休暇を取得した日
  • ・産前産後休業期間
  • ・育児休業・介護休業期間
  • ・業務上の負傷・疾病による療養期間

これらは労働者の権利として保障されており、出勤率の計算上、不利に扱うことはできません。

全労働日数から除外する日

一方で、次のような日は分母となる全労働日数から除外します。

  • ・会社都合による休業日
  • ・正当なストライキ期間
  • ・休日労働を行った日

年次有給休暇の基本的な付与日数

週の所定労働時間が30時間以上、または週の所定労働日数が5日以上の労働者には、継続勤務期間に応じて次の日数が付与されます。

年次有給休暇の基本的の付与日数


これは法律で定められた最低基準であり、企業がこれを上回る日数を付与することも可能です。

パート・アルバイトの付与日数(比例付与)

週の所定労働時間が30時間未満、かつ週の所定労働日数が4日以下の労働者についても、年次有給休暇は付与されます。
ただし、付与日数は所定労働日数に応じた比例付与となります。

例として、週3日勤務の場合、6か月後に5日、1年6か月後に6日が付与されます。

半日・時間単位での取得

年次有給休暇は原則1日単位ですが、企業が制度を整備することで次の取得方法も可能です。

  • ・半日単位:就業規則等で定めることで認めることが可能
  • ・時間単位:労使協定の締結が必要

多様な働き方に対応するため、導入を検討する企業も増えています。

有給休暇は上司の「許可制」にしてよいのか?

有給休暇の運用について、現場からよく挙がる質問が
「有給は上司の許可制にして問題ないのか?」というものです。

多くの企業では「申請→上司承認」というフローを採用しているため、実務上は“許可制”のように運用されているケースも少なくありません。しかし、労働基準法上の位置づけを正しく理解しておかないと、思わぬ労務トラブルや是正指導につながる可能性があります。

ここでは、労務管理の観点から整理します。

結論|有給休暇は原則として「許可制」ではない

年次有給休暇は、労働基準法第39条に基づく労働者の法定権利です。
一定の要件を満たした時点で法律上当然に発生します。

労働者の「時季指定権」

労働者には、取得日を自ら指定できる時季指定権があります。
つまり法的構造は、
・労働者が取得日を指定する
・使用者は原則としてそれを受け入れる
という関係です。
したがって、「会社が許可して初めて取得できる制度」として運用することは、法の趣旨と整合しません。
実務上“承認”という形式を取っていたとしても、それは業務調整のための社内手続きであり、法的に会社が裁量的に可否を判断できる制度ではないという点を押さえておく必要があります。

労働者の希望日を変更できる場合(時季変更権)

労働者には、原則として希望する日に年次有給休暇を取得する権利(時季指定権)があります。
ただし、その取得が「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、会社は取得日を変更するよう求めることができます(時季変更権)。

単に「忙しい」という理由だけでは認められず、代替要員の確保が困難であるなど、客観的な理由が必要です。

時季変更をめぐって、労使間でトラブルになるケースも少なくありません。企業側には年次有給休暇の取扱いについて正しい理解が求められます。

【参照】:年次有給休暇の時季指定義務

年5日の確実な取得義務

2019年4月の法改正により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、付与日から1年以内に5日間、会社が時季を指定して取得させることが義務付けられました。

労働者の申出による取得が年5日に満たない場合は、使用者が労働者に取得時季の意見を聴取し、尊重した上で取得時季を指定し、5日以上の取得を促すことが必要です。

計画年休(計画的付与制度)

年次有給休暇の計画的付与制度とは、年次有給休暇のうち5日を超える日数分について、労使協定を締結することで、会社が計画的に取得日を割り振ることができる制度です。

年次有給休暇の計画的付与制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が高くなっており、制度の導入は年次有給休暇の取得促進に有効であると考えられます。

年次有給休暇管理簿の作成と保存

使用者は、年次有給休暇を与えたときは、年次有給休暇管理簿を労働者毎に作成し、保存しなければなりません。

管理簿には、

  • ・付与基準日
  • ・付与日数
  • ・実際に取得した日

を記載し、付与期間およびその満了後5年間(当分の間3年間)保存する必要があります。

まとめ

年次有給休暇は、労働者の重要な権利です。
特に、出勤率の考え方や年5日の取得義務などは、誤った運用がトラブルにつながりやすいポイントです。

DIG社会保険労務士法人では、年次有給休暇の適切な運用や就業規則の整備など、実務面でのサポートを行っています。

また、年次有給休暇管理に適した勤怠システムの導入支援も行っています。
お悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

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お問い合わせ | DIG社会保険労務士法人

参考サイト

厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/jigyousya.html

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