DIG社会保険労務士法人の社労士ブログ

2026.03.24

出生時育休と育児休業の違いとは?制度の違いと会社対応を整理

出生時育休と育児休業の違いとは?制度

はじめに

こんにちは。
福岡市の DIG社会保険労務士法人(旧:社会保険労務士法人アーリークロス) です。

今回は、2022年の法改正以降、企業からのご相談が増えている
出生時育休(産後パパ育休)」と「育児休業」 について解説します。

「出生時育休と育児休業、何が違うのかよく分からない」
「どちらを案内すればよいのか迷ってしまう」

このような声は少なくありません。
制度の名称や仕組みが似ているため、内容を正しく整理しておかないと、従業員への説明や社内対応に戸惑ってしまうこともあります。

本記事では、出生時育休と育児休業それぞれの制度内容と違い、あわせて会社側の対応ポイントを分かりやすく整理します。

出生時育休(産後パパ育休)とは?

出生時育休とは、出生直後の子の養育のために取得できる育児休業制度です。
主に、男性の育児参加を促進する目的で創設されました。

制度の概要は、次のとおりです。

  • ・子の出生後 8週間以内 に取得
  • ・取得できる日数は 最大4週間(28日)まで
  • 2回に分けて取得することが可能

対象となるのは、出生直後の子の養育のために取得できる制度の趣旨から父親の取得が想定されていますが、対象は男性に限られるものではありません。

たとえば、養子を迎えた女性なども要件を満たせば取得することができます。

参考(厚生労働省):産休・育休はいつから?産前・産後休業、育児休業の自動計算|働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省)

育児休業とは?

育児休業とは、子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間、育児に専念するために取得できる休業制度です。

育児・介護休業法に基づき、一定の要件を満たす労働者から申し出があった場合、会社はこれを認めなければなりません。

取得できる期間は、原則として子が1歳になる前日までですが、保育所に入所できないなど一定の要件を満たす場合には、1歳6か月まで、さらに最長で2歳まで延長することが可能です。

育児休業そのものは、雇用保険に加入していなくても取得できます。

ただし、労使協定を締結している場合は、一定の条件に該当する方は取得対象外となります。

なお、育児休業給付金は雇用保険に加入している方のみが対象となるので注意が必要です。

出生時育休と育児休業の違い

出生時育休と育児休業は、いずれも育児のための休業制度ですが、取得できる時期や期間、制度の使い方に違いがあります。

まずは主な違いを表で整理します。

項目出生時育休(産後パパ育休)育児休業
主な利用者イメージ主に父親母・父ともに利用
取得できる時期・取得期間子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)まで取得可能出生後から原則1歳まで(保育所に入れない場合などは最長2歳まで延長可能)※1日単位で取得可能
分割取得2回まで可能原則2回まで可能(例外:待機児童、疾病や負傷など)
就業労使合意により一部就業可原則として就業不可

出生時育休は「出産直後の育児負担が特に大きい時期を支える短期取得型の制度」、育児休業は「中長期で育児に専念する制度」と整理できます。

組み合わせ取得のイメージ(主に父親の場合)

実務上、出生時育休と育児休業を組み合わせて取得するケースは、父親による取得が多く見られます。

イメージとしては、次のような流れです。

例えば、

  • ・出生直後に2週間の出生時育休を取得
  • ・その後、数か月後に育児休業を取得

といった形で、ライフスタイルに応じて設計することが可能です。

給付金について(育児休業給付金)

出生時育休・育児休業を取得した場合、要件を満たせば 雇用保険から給付金が支給されます。

要件

  • ・雇用保険の被保険者であること
  • ・育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること
  • ・休業中の就業日数・賃金が一定基準以下であること

申請について

  • ・申請は原則として2か月ごとに会社が行います
  • ・給付金は本人名義の口座へ直接振り込まれます
  • ・初回申請は審査に1~2か月程度かかる場合があります
  • ・そのため、必要書類(マイナンバー・口座情報等)は早めの提出が必要です

出生時育休給付金

  • ・原則として、休業に入る前の給与をもとに計算した金額の約67%が支給されます。
  • ・一定の要件を満たす場合には、「出生後休業支援給付金」が上乗せ支給され、実質的な手取り額が高くなるケースもあります。

※出生後休業支援給付金の支給要件や支給額の考え方、パパ・ママ育休プラスとの関係については、「出生後休業支援給付金とパパ・ママ育休プラスについて」のブログで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご確認ください

育児休業給付金

  • ・育休開始から6か月間:67%
  • ・6か月経過後:50%

※いずれも非課税の給付です。

参考(厚生労働省):育児休業等給付について|厚生労働省

社会保険料の取扱い

育児休業期間中は、健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。
(会社負担分・本人負担分ともに免除)

そのため、給与支給がない場合でも社会保険料の控除は行われません。保険料の支払いはありませんが、将来の年金を計算する際には、きちんと加入していた期間としてカウントされます。

※社会保険料の免除を受けるためには、会社から年金事務所へ「育児休業等取得者申出書」を提出する手続きが必要です。予定どおり復職する場合は「終了届」の提出は原則不要ですが、復職日が予定より早まった場合などは届出が必要となります。

参考(日本年金機構):厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)|日本年金機構

出生時育休・育児休業における会社の対応

従業員から出生時育休や育児休業の申出があった場合、会社と従業員それぞれに必要な対応があります。
ここでは、時間の流れに沿って整理します。

【STEP1】(出生時)育児休業申出について

従業員が行うこと

  • ・配偶者とともに休業の取得時期、期間、分割有無を決定する
  • ・会社へ申出

※申出の期限
・出生時育休:原則 2週間前まで
・育児休業:原則 1か月前まで

会社が行うこと

  • ・労働者からの申し出を確認(申し出期日や休業取得期間など)
  • ・(出生時)育児休業に関する情報提供等を行う
  • ・業務調整・補充採用等を行う

【STEP2】(出生時)育児休業の取得と給付金・保険手続について

会社が行うこと

  • ・休業期間の社内共有
  • ・給与・賞与の取扱い説明
  • ・社会保険料の取扱い説明(育休中は免除)

従業員が行うこと

  • ・育児休業申出書への記載、会社への提出
  • ・復帰日の事前連絡
  • ・業務引継ぎ

【STEP3】休業中

会社が行うこと

  • ・必要書類の共有依頼(母子手帳、育児休業の期間がわかるもの等)

従業員が行うこと

  • ・会社から依頼された必要書類を共有する
  • ・生まれた子の扶養異動の手続きが必要であれば会社に連絡する

※なお、育児休業の延長手続や復職時の実務対応(勤務条件の調整、社会保険・給与再開処理等)については、別記事にて詳しく解説します。

【STEP4】復職前

従業員が行うこと

  • ・復職希望日の連絡
  • ・勤務形態の希望共有

会社が行うこと

  • ・復職日の確認
  • ・勤務条件のすり合わせ
  • ・給与・社会保険の再開処理

会社から従業員へ事前に案内しておきたい事項

スムーズな手続きのため、次の内容は事前に共有しておくとよいでしょう。

【① 休業制度に関する確認事項】

 ・取得希望制度(出生時育休/育児休業)
・取得予定期間
・分割取得の有無
・延長の可能性
・保育所申込状況(延長予定がある場合)

【② 給付・社会保険に関する確認事項】

 ・給付金振込口座情報
・マイナンバーの確認
・社会保険料免除の取扱い説明

あらかじめ確認事項を整理しておくことで、申出から手続きまでの流れがスムーズになります。

まとめ

出生時育児休業育児休業は、いずれも育児と仕事の両立を支える重要な制度です。
それぞれの制度の特徴や違いを理解し、適切に案内できる体制を整えておくことで、従業員も安心して制度を利用することができます。

制度は「使われて初めて意味を持つもの」です。
出産・育児というライフイベントに備え、自社の制度や対応フローを一度見直してみてはいかがでしょうか。

お読みいただきありがとうございました。

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産休育休に関する給付制度と社内対応について

参考リンク(厚生労働省)

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